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Meet Graham

世界がポケモンGOが盛り上がっているので、今日はモンスター繋がりで。 豪州は南東部に位置するヴィクトリア州。州都のメルボルンはトラムと言われる路面電車が走る、のどかなイメージの街だ。しかし交通の便が比較的よいこともあり、近年は人口が増加。シドニーに次いで豪州2位となっている。 そんなヴィクトリア州で、問題になっているのが交通事故。州は交通事故に対する注意喚起を目的として、あるモンスターを製作した。 Graham

一目で「・・!?」となるビジュアルだが、架空の人物であると言うのでご安心いただきたい。細部を見ると、目や耳、鼻などのパーツはくぼみ、上半身から頭部が異様に大きく発達している。

そう、これはヴィクトリア州が外科医や事故調査官、アーティストと共同で製作した「交通事故に耐性を持った人類」なのである。 事故の危険性を伝える手段として、予防手段や対応策を訴えることを辞め、"事故に打ち勝つ身体"を提示することで、逆説的に事故が与えるダメージやその恐ろしさを伝えている。

Grahamの紹介ページを見ると脳は何層にも及ぶ空洞に包まれ、胸部は無数の"エアバッグ"で守られている。いずれも交通事故に対する防御システムというわけだ。細部の映像はコチラ

サイトもいい仕上がりになっているので是非ご覧いただきたい。 Visit Grahamというページでは、Grahamの展示スケジュールも公開されている。 メディア・アートとしてギャラリーでも展示されるようだ。

EDUCATIONAL EXPERIENCEのページには、事故に関するデータも記載さている。こうしたキャンペーンはついついネタに走りすぎて本質を伝え損ねるケースが散見されるが、展示(=鑑賞)という"体験"を通して深いコミュニケーションを実現しようとしているところがまた面白い。

2016年のカンヌライオンズの傾向として"リザルト(結果)へのコミット"が重視されていたが、来年はその過程で"如何に深いエンゲージメントをもたらしたのか?"という観点で、Grahamのようなアプローチが注目されるかもしれない。

ポケモンGOについつい夢中になるのも理解できるが、くれぐれも交通事故に気を付けたい。

© 2015 GPR134

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