2016年の日本語ラップ "ブーム"

最近いろんなところで目にする耳にする日本語ラップ。 朝ぼんやり支度をしていると、まさかのZIP!(日本テレビ)でもラップの企画が・・!

ということで、今回は盛り上がる日本語ラップについて書いてみたい。 BSスカパー「BAZOOKA!!!」の人気企画「高校生RAP選手権」が始まったのが今から4年前。 YouTubeやtwitterなどインフラが普及したのも手伝ってか、確かに検索ボリュームもめちゃめちゃ増えている。

これが「ラップ」で調べたgoogleの検索ボリューム。 2013年頃から増え始め、2016年に入ってからは加速度的に増加している。

また、これは「高校生ラップ」と「日本語ラップ」で調べた結果。

選手権の開催時期と検索ボリュームのピークが綺麗にリンクしていて、特に2014年3月に開催された第5回大会あたりから大きく伸びている。これだけ見ても「BAZOOKA!!!」の貢献がみて取れる。 「日本語ラップ」よりも「高校生ラップ」の方が検索ボリュームが多いということにも驚かされる。 ・・・しかし、2016年の伸びは尋常じゃない。 他にも要因があるのだろう、ということでざっと洗ってみた。

2016年日本語ラップブームの要因 -- ①ラップ番組のWEB配信  ・高校生ラップ選手権  ・フリースタイルダンジョン ②企業プロモーションでの起用  ・LINEバイト「MCバトルムービー」 / ACE,R-指定,DOTAMA,MC☆ニガリa.k.a赤い稲妻,崇勲  ・トビタテ!「Dear Father」 / Mummy-D  ・どん兵衛「東西対決」 / KEN THE 390,ERONE,DOTAMA,KOPERU  ・カップヌードル「SAMURAI NOODLES "THE ORIGINATOR"」 / 環ROY  ・乖離性ミリオンアーサー「ラップ編」 / DOTAMA ③大手レコード会社からのメジャーデビュー  ・「UMA」 / 水曜日のカンパネラ(ワーナーミュージック・ジャパン・アトランティック・レコード)  ・「RUN and RUN」 / lyrical school(キングレコード) -- WEB環境とプレイヤーの増加 今夜はブギーバック('94)や「Grateful Days」('99)、「楽園ベイベー」('02)、「さくら」('05)などなど、いわゆるコア層以外にもラップがヒットしたタイミングはこれまでにもあった。が、今回決定的に違うのがWEB環境プレイヤーの増加だ。 YouTubeで気軽に(無料で)番組を観れるということは、10代のスマホ保有率が7割を超える今、認知ルート・拡散性の両面で大きな意味合いを持つ。更に高校生ラップ選手権のように”いわゆる普通の学生”がステージに立つ姿を見て勇気を持った人も多いだろう。サイファーというものを知って休み時間の廊下でふざけながら実践した高校生も少なくないと思う。

もし10年前に「よし!俺もラップやってみよ」と思ったら、ちょっと強面な仲間とつるんで地元のクラブに足を踏み入れるのがスタートだっただろう。しかし、今はSoundcloudやツイキャス、ニコニコ動画、YouTubeなど自身のラップを披露できるツールが揃っている。プレイヤーが増えればその分、検索数は伸びるし周囲への影響も大きくなる・・というのが2016年現在の状況ではないだろうか。

"ブーム"で終わり? ただ、企業がこぞってラップをネタにしているのは、プレイヤーの食いぶちが増えるという点でウェルカムだが、盛り上がり方に(日本にありがちな)"悪い意味でのブーム感"が強く、その点は少し心配だ。

プレイヤーにとって成人、就職、三十路という3つの壁を越えてなおラップを続けることは中々苦労と覚悟がいる。ただ、昔と違って「仕事かラップか」の二者択一でなく、ゆるく続けるという選択肢は許容されてきた雰囲気があるし、テクノロジーもそれを助けている。リスナーとしては、様々なバックグラウンドのプレイヤーが出てくるのは嬉しいし、USに無いような日本独特のラップが進化していくことに期待したい。

2016年の盛り上がりは過去のそれと一線を画して、"節目"となり得るのか?数年後に振り返ってみたいので、今回は少し細かく書いてみる。 --

①ラップ番組のWEB配信 高校生ラップ選手権

冒頭でも触れた2012年7月から行われているラップ選手権企画。8月30日には日本武道館での第10回大会が予定されている。審査員やゲストのキャスティングに制作者の並々ならぬ想いが伝わってくる。 フリースタイルダンジョン

2015年9月から開始したテレ朝深夜枠の番組。ZEEBRAがオーガナイザー。MCバトルの勝ち抜き企画が中心。2016年からはAbemaTVでも放映される。サイバーの藤田氏曰くトラックの権利関係でYouTubeでのUPが近日中に無くなるという。 ②企業プロモーションでの起用 LINEバイト「MCバトルムービー」 / ACE,R-指定,DOTAMA,MC☆ニガリa.k.a赤い稲妻,崇勲

twitterの広告でガンガン流れてきたMCバトル風のムービー。高校生ラップ選手権に興味を持つ高校生には有効なのでtwitterのハンドルターゲティングなどをしていたと思われる。 トビタテ!「Dear Father」 / Mummy-D

まさか文部科学省がラップを採用するとは・・!という意味で驚きのある企画。 通した代理店のプレゼン資料にはいかに高校生の間でラップが流行っているかが触れられていたに違いない。 どん兵衛「東西対決」 / KEN THE 390,ERONE,DOTAMA,KOPERU

東西のうどんだし論争をラップバトル風にアレンジ。といっても動画では東西別々のカットを組み合わせて使用しているのでもう一つガチンコ感が物足りない。 カップヌードル「SAMURAI NOODLES "THE ORIGINATOR"」 / 環ROY

インスタントラーメンの創始者、安藤百福氏のサクセスストーリーをラップとアニメーションに乗せて紹介。題字は佐藤可士和。可士和もラップを認めたか・・ 乖離性ミリオンアーサー「ラップ編」 / DOTAMA

一時期結構な投下量で放映されていたTVCM。DOTAMAのキレの良い語り口は音声だけでも成立するせいか鎮座DOPENESSと並んで起用されている機会が多そうだ。 ③大手レコード会社からのメジャーデビュー 「UMA」 / 水曜日のカンパネラ(ワーナーミュージック・ジャパン・アトランティック・レコード)

ラップの普及において女性MCの活躍は大きい。2014年に一足先にメジャーデビューを果たしたCharisma.comなんかもOL MCとしてテレビ出演していたことがあったが、水曜日のカンパネラもスペシャで賞を取るなど独特の世界観を貫きながら露出を増やしている。 「RUN and RUN」 / lyrical school(キングレコード)

これはもう完全にMV勝ち。スマホでの視聴を意識したMVは安室奈美恵の「Golden Touch」でもあったが、SNSのUIなんかも用いている点がシェアを促すきっかけになっている。lyrical school自体は以前からラップをモチーフに活動していたようだが、今回大手レコード会社によるプロモーションが一役買っている。

-- 以上、探せばまだまだありそうだが、ざっとこんな感じ。 最後に1つリリックを引用して終わりたい。

「こいつの言葉軽いな マイク持ってんのもブームかなんか」

第7回高校生ラップ選手権決勝で、MCニガリが言xTHEANSWERに投げかけた言葉。 数年後、このエントリーがどう映るか楽しみだ。