【Exhibition】“GRAFFITI"|成山画廊
九段下の地下から地上に這い上がる時、既に展示は始まっていた。
今回展示が行われた成山画廊のHPには以下のような但し書きがあった。
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ご来廊になるお客様へ
近隣への落書き等の迷惑行為をなさらないで下さい。
アーティストをリスペクトする意味でもお願い致します。
皆様のご来廊をお待ちしています。
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現役ライターの展示ということもあり、地域への配慮がなされたのであろう。
確かに、駅から5分程度の道程には目立ったBOMBも無かった。
が、MQによる親指大程の極小ステッカーだけは
ひっそりと ー しかし不思議な存在感をもって私を迎えてくれた。
それを見つけた時、私はまるで試されているかのような感覚を得た。
私は足早に画廊へと向かった。
成山画廊は九段南の年季の入ったビルの一室にある。
日本画の松井冬子や、油絵の亀井徹といった作家の展示も過去に行われている。
扉には「入室は5人まで」と書かれた通りスペースは決して広くないが、
一歩足を踏み入れた瞬間に彼らの奥深い世界が広がっていた。
壁一面に薄い鉛筆で描かれたようなタッチの作品群。
画廊の方によると彼ら4人が共同で仕上げたそうだ。
WANTO, ROUSOKU, HORFEE, MQ
日米仏を代表するような面々が、
この場で一堂に会して制作を行っていたかと思うと自然と胸が高まった。
作品は書き下ろしと思われるものが多く、立体物も含まれていた。
しばらく私はぼーっと眺めていたが、画廊の方と2〜3言葉を交わしたところ、
その日が展示の最終日にあたっていたため、
壁一面に描かれた絵は翌日には全て消してしまうと告げられた。
いささかもったいない気もしたが、
同じ九段下でもうすぐ咲き乱れる桜の如く、儚さが故に増す価値もあるのだろう。
ストリートの前線で活躍する彼らの潔さのようなものも感じた。
設営時の様子は写真で記録され、彼らの手によって選ばれた写真が
一冊のパンフレットにまとまっている。
100冊制作され、1冊1冊に4名全員のタグが書かれている。
眺めているとアーティストの体温が伝わってくるようだ。
成山画廊 : http://www.gallery-naruyama.com/